てんかんは単剤による治療が一般的ですが、約30%の患者は併用療法を必要としています。抗てんかん薬の副作用には、重篤な皮膚障害であるスティーブンス・ジョンソン症候群(SJS)および中毒性表皮壊死症(TEN)が知られています。しかし、抗てんかん薬を2剤併用した場合における重篤な皮膚障害の関連性を示す情報や研究報告はほとんどありませんでした。

 本研究では、独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)が公開している医療ビッグデータであるJapanese Adverse Drug Event Report databaseをもとに安全性シグナル検出手法(図1、図2)を用いて、重篤な皮膚障害と関連する抗てんかん薬の併用パターンを明らかにしました(表1)。

1 医薬品相互作用のシグナル検出手法(Ω shrinkage measure

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図2 併用時と単剤使用時のシグナルスコアの比較方法

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表1 重篤な皮膚障害と関連する抗てんかん薬の併用パターン

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 本研究成果は、岐阜薬科大学病院薬学研究室の野口義紘講師、高岡みらい氏(薬学科学生)、林剛氏(薬学科学生)、舘知也准教授、寺町ひとみ教授らにより国際学術誌「Epilepsia」に掲載されました。

本研究成果のポイント

-重篤な皮膚障害と関連する抗てんかん薬の併用パターンを明らかにしました。

-単剤の使用では重篤な皮膚障害と関連性がみられなかった抗てんかん薬も併用することにより関連性が示される併用パターンもあることが示されました。

論文情報

  • 雑誌名:Epilepsia
  • 論文名:Antiepileptic combination therapy with Stevens-Johnson syndrome and toxic epidermal necrolysis: Analysis of a Japanese pharmacovigilance database.
  • 著者:Yoshihiro Noguchi, Mirai Takaoka, Tsuyoshi Hayashi, Tomoya Tachi, Hitomi Teramachi
  • DOI番号:10.1111/epi.16626