2011年の東日本大震災では、支援医薬品が集積所で停滞したり、大量の支援物資の整理で混乱したりするなど、被災者に必要な医薬品が行き渡らないなどの問題点が明らかになりました。震災後、東南海地震での大きな被害が予想される高知県や静岡県をはじめ複数の地域で、防ぎえた災害死・災害関連死を無くすため、災害時の医薬品の流通や薬剤師の配置を調整する災害薬事コーディネーター制度が整備されてきました。岐阜県においても、岐阜県薬剤師会が災害薬事コーディネーターの名簿を作成するなどしてきましたが、具体的な業務計画や技能維持などの研修は実施できていませんでした。

近年では、あらためて災害薬事コーディネーターの重要性がクローズアップされ、20227月の厚生労働省通知において、大規模災害時に都道府県災害対策本部の下に設置される保健医療福祉調整本部のメンバーとして、災害薬事コーディネーターが正式に明記され、20241月の能登半島地震においてもその重要性が改めて認識されました。

2025120日に、岐阜県と岐阜県薬剤師会との間で、災害薬事コーディネーターの派遣に係る内容を加えた「災害時における医療救護活動に関する協定」の再締結が行われ、126日に岐阜薬科大学において災害薬事コーディネーター養成研修会が開催されました。研修会では林秀樹教授(地域医療実践薬学研究室)を講師として、岐阜県薬剤師会から推薦された40名の薬剤師によるグループワークが行われ、災害薬事コーディネーターとして大規模発災時の初動や不足医薬品の確保などについて岐阜県内での発災を想定したシナリオで議論されました。研修会終了後には、岐阜県知事からの委嘱状交付式が行われ、本学の林秀樹教授(地域医療実践薬学研究室)、種田靖久講師(薬物動態学研修室)、小池紫研究生(地域医療実践薬学研究室)が災害薬事コーディネーターに委嘱されました。岐阜県では20242025年度にかけて計76名に委嘱し、大規模災害の発災時には、県庁や保健所などで薬事に関するコーディネート活動を担うことになります。

岐阜薬科大学では、地域の公立大学として、今後も地域医療を守るため、専門的な知識・技能を備えた教職員らによる地域貢献と、社会に貢献できる人材の育成に努めてまいります。

【CCN】

岐阜のニュースは「エリアトピックス」2025年1月28日(火)

【薬事日報】

26日に「岐阜県災害薬事コーディネーター養成研修会」開催 岐阜薬科大学|薬事日報ウェブサイト

【岐阜新聞】

20250121岐阜新聞.pdf

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