生化学研究室に興味のある3回生へ
医療技術や新薬の開発によって治る病気が多くなっていますが、まだまだわからないことは沢山あります。そのほとんどは教科書に書いてないことで、どれが正解なのかはわかりません。小さな一歩かもしれませんが、新しい現象を解明してみませんか?
研究は失敗の連続です。だから、仮説を立て直し、実験条件を見直し、期待通りの結果が得られたときの感動が大きいのです。そして、その発見を独り占めするのではなく、いろいろな分野の人に知らせることが大切です。そのため、生化学研究室では研究成果の学会発表(運がよければ論文発表)というアウトプットまでを体験してもらいます。教えられるから自ら学ぶべき事項を見出し、自ら学修し、自ら解決する環境を創り、そして学び・実践したことを教えることができる人に成長してください。現在取り組んでいる研究テーマは、下記のようになります。
1. 新規抗癌剤開発の基礎的研究
癌細胞は正常細胞と異なる遺伝子発現プロファイルを示すことが知られ、細胞間タイト結合を構成する膜タンパク質、ス テロイドや糖などの代謝酵素のいくつかは癌細胞で発現上昇し、増殖能亢進や抗癌剤耐性化を誘起することが明らかにされつつあります。本研究室では、これら 標的タンパク質の癌細胞における働きを調べるとともに、その強力かつ特異的な阻害剤を高次構造に基づいた論理的視点から探索しています。
2. 生理機能の維持における膜輸送体の機能・発現・局在に関する研究
生体にとって必要な電解質イオン、水分、栄養素は、腸管から吸収されます。また、腎糸球体でろ過後、尿細管で再吸収されることにより、体内濃度が厳密に調節されます。腸管や尿細管には多くの膜輸送体が発現しており、お互いの機能が規則正しく調節されています。本研究室は、生活習慣病や遺伝性疾患における膜輸送体の機能・発現・局在の異常機構を調べ、新しい診断・治療法の開発に取り組んでいます。
3. 新規機能性分子の創製
タンパク質はすべての生命活動を担う最も重要な物質であり、その機能異常は様々な疾患の原因となります。そのため、タンパク質の機能制御分子の開発は、生命現象の理解や制御、疾患治療薬の開発において重要です。本研究室では、インシリコ技術を用いた新規化合物のデザインや天然化合物への機能性付加によって世の中にない新規機能性分子を創製し、医薬品開発やライフサイエンスにおける課題解決に挑んでいます。