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引火性・危険薬品
引火性液体
引火性液体は,実験室で溶剤・燃料及び合成原料として用いられるもので、メタノール・エタノール・エーテル・アセトン・酢酸エチル・二硫化炭素・ベンゼン・ トルエン・石油エーテル・ベンジン及びガソリンなどを指します。これらの取扱いには、以下の点に注意しなければなりません。
- 安全な共栓瓶に入れ、密閉して冷暗所に保存しましょう。(とくに直射日光のよく当たる場所はさけること。)
- 原則として実験台の上には500グラム以上、実験室には1キログラム以上を持ち込まないようにしましょう。
- 実験台上で火災を起こしたときは、まず、ガス・電気の熱源を切り、周囲にある器具・引火物などをすみやかにとおざけ、それから消火作業に移るようにしましょう。(失火した者は、興奮しているため、消火の処理は周囲の人にまかす方が適切な場合が多い。)
- 衣服に可熱性物が付着し、火が燃え移ったときは、床の上に横になり、ころがって消火しましょう。(室内に走り廻ってはいけない。)
- よく使用する有機溶媒については、その性質・恒数(沸点・比重など)及び精製方法を知っておく必要があります。
危険薬品・危険反応
危険薬品とは、引火性液体のほかに、爆発性・発火性及び有毒性の薬品を指します。
有機物 | 溶媒類(アルコール・エーテル・クロロホルム・二硫化炭素及びベンゼンなど) ニトロ化合物(ニトロベンゼン・ピクリン酸・TNT及びニトログリセリンなど) その他(硫酸エステル・硝酸アシル・亜硝酸エステル・ジアゾニウム塩・アジ化水素酸とその塩・有機過酸化物・ジメチル硫酸・アセチレン・アセチリド・石炭酸及びホルマリンなど ナトリウム・カリウム・水銀・黄リン・赤リン・塩素・臭素・酸素・オゾン及び水素) |
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過酸化物 | 過酸化水素・過酸化ナトリウム・過塩素酸とその塩・過マンガン酸カリウム・重クロム酸塩及び無水クロム酸など |
酸化物 | 二酸化イオウ・二酸化窒素及び一酸化炭素など |
酸、アルカリ類 | 発煙硫酸・硫酸・発煙硝酸・硝酸・塩酸及び水酸化アルカリなど |
その他 | シアン化水素とその酸・亜ヒ酸・塩化第二水銀・フッ化水素・ナトリウムアミド・五塩化リン・三塩化リン・チオニルクロリド及びクロルスルホン酸など |
取扱いには次の注意を心がけましょう。
- 薬品名を書いたラベルは明瞭であるか、つねに留意して整理しましょう。
- 地震など不事の際に倒れても戸棚の薬品が互に反応しないように、適当に区分して保管しましょう。
- 金属ナトリウム・金属カリウムは、石油入りの共栓瓶に入れ、黄リンは、水の入った共栓瓶に入れて、さらにそれぞれを別々のブリキカンに納めて特定の場所に保管します。なお、金属ナトリウム・金属カリウムの屑(切片、消耗したナトリウム線など)も石油入りの瓶に保存し、多少溜ったときに適時処分します。この処分には、アルコール中で水素ガスが出なくなるまで分解したのち、水で希釈します。(金属ナトリウム類を使用した瓶・フラスコ(コルベン)・ピンセット・圧搾器及びろ紙なども必ずアルコールでよく洗います。直接水を加えるときは発火爆発の危険があります。)
- 過酸化物(爆発性薬品は、振動の少ない冷暗所に保管すること)、発煙性・吸湿性の薬品(発煙硫酸・五塩化リン・三塩化リン・オキシ塩化リン・チエニールクロリド・スルフリールクロリド・クロールスルホン酸及びクロル炭酸エチルなど)は、丈夫で上質の共栓瓶・アンプルに入れ、デシケ一ターの中に保管します。(この場合、あまり多くの薬品を一つのデシケ一ターの中に入れないようにし、取り出すときは、転倒しないように留意します。薬品名ラベルは、不明瞭になりやすいため、つねに整理しなければなりません。)
- 液体危険薬品、たとえば臭素などは砂箱に保管することが望まれます。
- ナトリウムアミドを乳鉢で砕粉するときは、無水ベンゼン又は無水トルエンを添加して行います。
- 水銀を実験台の上にこぼしたときは、球状となり広く飛散するので、スポイド・厚紙を用いて徹底的に回収しなければなりません。水銀蒸気を吸収しつづけると中毒の危険があるので注意しましょう。
- 塩素酸カリウム・硝石(硝酸カリウム)など、イオウ・木炭・赤リンなどを混合するときは、各粉末を角製のさじ、又は厚紙で和合します。乳体で研和など、刺激してはいけません。
- 爆発性薬品を用い、あるいは生成物が爆発性の化学反応を実施する場合は、十分危険防止の対策を考えてから行わなければなりません。反応物の加熱・研和及び撹拌など刺激を与える操作には、特別の注意が必要です。