御挨拶 名誉会長

岐阜薬科大学長 原 英彰

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~岐阜薬科大学の今、そして将来~
 岐阜薬科大学同窓会会員の皆様方には、益々ご健勝でご活躍のこととお慶び申し上げます。また、日頃から各地域の支部総会活動や、教育・研究基金、キャンパス整備基金等を通じ、本学発展のために多大なるご支援、ご指導を賜り、有難く厚く御礼申し上げます。
 まず、本学における現況についてご報告させていただきます。令和3年度の入学生の状況は、本年度も全国から140名(定員120名)の新入生を迎えるとともに、大学院として博士後期課程6名(定員5名)、博士課程2名(定員5名)の学生を迎え、教職員一同、新たな気持ちで教育、研究に励んでおります。 また、先に実施されました第106回薬剤師国家試験におきましては、既卒・新卒の学生100名のうち79名[合格率79.00%(全国68.66%)]が、新卒の学生75名のうち66名[合格率88.00%(全国85.55%)]が合格し、新人薬剤師として病院薬局や市中の薬局、官公庁、製薬会社等で活躍しております。来年度こそは全員合格できるように教職員一同、指導・支援していく所存であります。さらに、大学院修士課程、大学院博士後期課程及び大学院博士課程を修了した学生は、そのほとんどが製薬会社の研究部門等で活躍しております。

 本学は、ファーマシストサイエンティストの育成を目指す質の高い教育を行っております。「ファーマシストサイエンティスト」とは、臨床に従事しながら研究ができる薬剤師、あるいは臨床の経験を生かして製薬企業などで研究者として活躍する薬剤師(薬剤師研究者、Pharmacist-Scientists)のことです。本学では、すべての学生に薬剤師としての職能教育を行い、資格の取得をサポートするだけでなく、高度な専門知識を兼ね備え、薬学研究を推進できる人材の育成のための、質の高い、充実した基礎から臨床までの教育体制を誇っています。

 本学の研究体制の取組については、シーズ探索等の基礎薬学分野から臨床試験等の臨床薬学分野まで24の研究室で創薬・育薬に係る幅広い研究を進めています。また、「疾患の早期発見や安全で有効な個別化治療」へと移行しつつある医療の社会的ニーズに応えるため、本学本部キャンパスと隣接した岐阜大学の、医学部、応用生物科学部(獣医学部)及び工学部の教育・研究機関をはじめ、名古屋大学医学部医学系研究科、創薬科学研究科との協定により多彩なプロジェクト研究を推進しています。このように東海国立大学機構(名古屋大学、岐阜大学)との連携による先端創薬研究体制を強化しております。さらに昨年から名古屋市立大学、本年3月から岐阜医療科学大学とも学術協定を締結し、共同研究、研究機器の共同利用、学生及び教職員の交流等、教育・研究での積極的な連携を通じて、東海地区の創薬研究拠点として最先端の研究に取り組んでおります。また、民間企業からの支援を得て、現在5つの寄附講座(香粧品健康学講座、地域医療薬学講座、バイオメディカルリサーチ講座、在宅チーム医療薬学講座、先進製薬プロセス工学講座)を開設しております。さらに本年4月から創薬ベンチャーとの共同研究講座(創薬イノベーション講座)を設立しました。このように本学は、学内はもとより、周辺、特に東海地方の大学や産業界との連携を強く推進しつつ、教育・研究を進めています。

 昨年度から続いている新型コロナウイルス感染拡大の影響は、社会経済だけでなく、本学の教育・研究の現場に大きな影響を及ぼしております。昨年の前期授業においてはオンラインを用いた遠隔授業による教育を中心に行い、後期授業ではオンラインと対面のハイブリッド授業を行うことで大きな問題もなく進めて参りました。今年度については、一学年を二つの教室に分け、片方の教室の学生には対面授業を、もう一方の教室の学生にはリアルタイムでの配信授業を行い、これを交互に入れ替えることにより教育・研究の質を損なうことなく対応しております。しかしながらクラブ活動、各種対外行事等は、新型コロナウイルス感染拡大を危惧して現在禁止または中止しております。学生のためにも早く再開できることを願っているところであります。今後、教育現場におけるコミュニケーション方法や授業形式がウィズコロナの後、ポストコロナ時代でどのように変化するかを見極めつつ、新しい時代へ教育研究体制を適応させていくことが必要になってきます。

 三田洞キャンパスと本部キャンパスの整備・統合については、「本部キャンパスの近接地に整備・統合する。」ことが決定し、本年度は用地買収などに向けて準備をしております。

 今、我々を取り巻く社会並びに経済環境は、コロナ禍の中、複雑・多様化してきております。こうした社会環境の動きを的確に捉え、今後とも、高度な研究に裏付けられた教育のできる大学として、また、伝統的に培われてきた育薬・創薬に関する教育・研究の成果を世界に発信できる大学として、教職員一丸となって取り組んでまいります。同窓会の皆様方には、本学発展のため、引き続き尚一層のご支援、ご指導を賜りますよう心からお願い申し上げます。

末筆ながら会員の皆様方のご健勝、ご多幸をご祈念申し上げまして、ご挨拶とさせていただきます。

九重86号より