御挨拶 名誉会長

岐阜薬科大学長 原 英彰

ご 挨 拶

~岐阜薬科大学の教育・研究・地域貢献の現状と今後の課題~

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岐阜薬科大学同窓会会員の皆様方には、益々ご健勝でご活躍のこととお慶び申し上げます。また、日頃から各地域の支部総会活動や、教育・研究基金、キャンパス整備基金等を通じ、本学発展のために多大なるご支援、ご指導を賜り、有難く厚く御礼申し上げます。

まず、本学における現況についてご報告させていただきます。令和5年度の入学生の状況ですが、本年度も全国から138名(定員120名)の新入生を迎えるとともに、大学院として博士前期課程4名(定員3名)、博士後期課程5名(定員5名)、博士課程14名(定員5名)の学生を迎え、教職員一同、新たな気持ちで教育、研究に励んでおります。また、先に実施されました第108回薬剤師国家試験におきましては、既卒・新卒の学生135名のうち109名〔合格率80.74%(全国平均69.00%)〕が、新卒の学生112名のうち97名〔合格率86.61%(全国平均84.86%)〕が合格し、新人薬剤師として病院薬局や市中の薬局、官公庁、製薬会社等で活躍しております。さらに、大学院博士前期課程、大学院博士後期課程及び大学院博士課程を修了した学生は、そのほとんどが製薬会社の研究部門等で活躍しております。

1)本学が育てたい人材

「医療薬学コース」と「創薬育薬コース」の2つのコースを新設し、「医療薬学コース」では、「安全で確実な薬物療法を提供できる薬剤師」と「地域や社会のニーズに向き合い、健康で質の高い社会を築くことに貢献できる薬剤師」の育成を、また、「創薬育薬コース」では、「医薬品の研究、開発の中核となる研究者や技術者、具体的には、医薬品の専門的な研究はもとより、医薬品開発のデザイン、医薬品の規制や流通のあり方、グローバル展開等経営的戦略を考えたりする、ダイナミックな高度の薬学専門知識を併せ持つ人材」の育成を図ることとしております。以上のコースを基本として、薬剤師・研究者(ファーマシスト・サイエンティスト)の育成を目指す質の高い教育を行っています。薬剤師・研究者とは、臨床に従事しながら研究ができる薬剤師、あるいは臨床の経験を生かして製薬企業等で研究者として活躍する薬剤師のことです。本学では、すべての学生に薬剤師としての職能教育を行い、資格の取得をサポートするだけでなく、高度な専門知識を兼ね備え、薬学研究を推進できる人材の育成のための、質の高い、充実した基礎から臨床までの教育体制を誇っています。

大学院においては、「いかに患者さん個々人の治療の向上に役立つ薬へと改良していくか、

また、正しく薬を使うかを研究する"育薬"」と、「難病治療等に向け、世界に発信できる新薬を研究する"創薬"」という観点から、教育を進めております。いわゆる、専門薬剤師や創薬や生命科学研究のエキスパートの育成です。博士号を取得することは、その後の薬剤師、研究者や公務員等の人生において、非常に有益であり、かつ活躍の場も広がりますので、積極的に進学を進めています。また進学しやすいようにサポート体制も構築しています。一方、社会人大学院への進学も積極的に推進しており、製薬企業、病院・薬局等から毎年2から11名(5年間の平均6.6/年)の社会人の学生が入学されています。

その一環として、大学院への進学を推進するために、同窓会から大学院進学者に対して支給型資金として「成長支援助成金(同窓会チャレンジ助成金)」(今年度は一律18万円)を設けております。さらに令和4年度の同窓会役員会において、「同窓会大学院博士課程・博士後期課程進学促進助成金(同窓会PhDチャレンジ助成金)」の設立が提案され、承認されましたので、昨年度から学生一人当たり年額36万円(月額3万円)を支給することになりました。ただし、日本学術振興会特別研究員等に採択されていない学生対象になります。このような学生支援に対しまして、同窓会の皆様方には心よりお礼申し上げます。引き続き「教育・研究基金」へのご支援宜しくお願い致します。

2)本学の研究力・教育力

 本学では、がん・糖尿病・骨粗鬆症等の生活習慣病、精神神経疾患、神経変性疾患、眼疾患、感染症等の病態の原因解明や治療法の開発、これら疾患の治療薬を目指した新規医薬品の創薬研究を行っています。本学の研究室は、薬学科・薬科学科7大講座23研究室、サテライト研究室2研究室、専門教育大講座1研究室、基礎教育大講座4研究室、寄附講座7講座、共同研究講座1講座で構成されています。医薬品開発は、化合物の探索選定に始まりターゲットバリデーションで見出された候補化合物を用いた非臨床試験、そして臨床試験を経て、厚生労働省に申請を行い、認可されたのちに市販・市販後調査と続いていきます。臨床試験以外は、本学の研究室で研究できる体制が出来ており、学生は3回生後期から何れかの研究室に配属され、研究に日々力を注いでいます。

 

本学は、朝日新聞出版『大学ランキング 2023 年版』の有名医薬品企業13社への実就職率で、全国国公私立大学 793 校中1 位にランキングされました。また論文引用度指数ランキングでは2位(公立大学98校中では1位)でした。これは教員の生産性を示すもので、教員一人当たりの年間の主著論文、いわゆる筆頭著者(論文作成に主に携わった方)論文数が全国でトップクラスということです。また文部科学省が交付する科学研究費助成金(科研費)という競争的研究費の採択状況は、国公私立大学 793 校中38位(公立大学98校中では6位)、外部資金の受け入れ金額も27 位(公立大学98校中では3位)でした。

3)医療現場にサテライト研究室を設置

 令和44月からは、学生に対する臨床教育をさらに充実させるために、岐阜大学医学部附属病院と岐阜市民病院の薬剤部にそれぞれサテライト研究室「先端医療薬学研究室」と「健康医療薬学研究室」を設置しました(図2)。学生が臨床に近い現場で学びながら臨床研究に取り組めるようにするのが目的です。これはそれぞれのサテライト研究室に本学教員が常勤し、学生指導のみならず医師、薬剤部等医療スタッフとの共同研究も行っています。大学と病院による共同研究も推進し、病院薬剤師の学位取得も後押します。実務実習では得られない臨床現場での深い経験を通じて、卒業後に第一線で活躍する薬剤師の養成を目指します。研究テーマとしては、がん薬物療法をはじめとした様々な薬物療法における医薬品の適正使用、有効性や安全性、患者の生活の質(QOL)向上等に関する臨床研究を行っています。これらの医療機関以外とも共同で研究活動を行っており、その成果を学会や論文で発表しています。

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病院、保険薬局との連携による実践教育・臨床研究

4)法人化への移行

 令和54月現在、全国にある公立大学100大学のうち91大学が法人化へ移行しています。また、大学進学者数の減少や全国的な薬学部の新設等全国の薬科大学・薬学部を取り巻く環境は、大変厳しいものとなりつつあり、今後は、各大学の持つ強みや魅力を活かし、競争力を高めていくことが必要です。さらには、近年の傾向として、国等が優れた研究提案に対し研究資金を配分する、いわゆる競争的資金について、その公募要件として、事業スケジュールにおける財政・会計分野での機動的な対応や自律と責任のあるガバナンス体制等が求められており、現在の直営方式のままでは、その獲得が困難になってくることが予測され、その結果、研究力の低下や優秀な人材の流出等が懸念されます。

 このような、国や他大学の状況、また、将来的な大学運営に対する危機感から、本学では、将来のあり方として法人化への移行について、令和35月より検討を重ね、令和45月には大学として法人化の方向で進めたいとする結論に至りました。その後、大学の設置者である岐阜市において協議を行った結果、「岐阜薬科大学を公立大学法人へ移行する。」と決定されました。

 法人化により期待される効果としては、大学の自主・自律的な判断に基づく弾力的な予算執行や人事管理が可能となることにより、他大学や民間企業とのさらなる連携強化による研究力や教育力が向上すること、国の競争的資金等外部資金の獲得力が増すこと、大学の魅力が高まることにより全国から優秀な学生を集めることができること、研究力や教育力の向上等により全国屈指の学術研究拠点として、民間企業や研究機関を立地誘導することで、ライフサイエンス拠点の形成につなげることができること、等の効果が期待できるものと考えています。

公立大学法人への移行スケジュールとしましては、今年度、事務局内に大学法人準備課を設置し準備を進めており、令和74月の公立大学法人設立を目指しています。

5)キャンパス整備・統合とライフサイエンス拠点形成

長年の課題でありました三田洞キャンパスと本部キャンパスの整備・統合については、整備候補地を本部キャンパスの西側とし、令和10年度末の完成を目指して取り組みを進めております。

今年度は、新キャンパスにおける学舎や体育館、テニスコート等に関する基本設計を手掛けるとともに、整備予定地の用地取得に向けた補償調査等に着手したところであります。

一方で、本部キャンパスが位置する黒野地域は、岐阜薬科大学の薬学、岐阜大学の医学、獣医学、工学、農学分野が集積する全国屈指の学術研究拠点になりうる可能性を十分に秘めております。その実現に向け、令和5年には、東海国立大学機構(岐阜大学、名古屋大学)が本学と連携し、「One Medicineトランスレーショナルリサーチセンター」を設置しました。

さらに本学は、名古屋大学を主幹校とする東海地区20大学が参加するTokai Network for Global Leading Innovation (Tongari)プラットフォームに参画し、起業家マインドを育てるアントレプレナーシップ教育の推進を行うとともにスタートアップ支援やベンチャー企業との連携にもさらに力をいれていく予定です。

また、令和6年には、岐阜市北西部(本部キャンパスの北側)に本市の新たな玄関口となる東海環状自動車道(仮称)岐阜インターチェンジが開通予定となっています。

今後、本学と岐阜大学の周辺を含む黒野地域は、産学官の連携や関連する研究機関と民間企業の誘致が進み、国内でも屈指のライフサイエンス拠点(学術研究拠点)が形成されることで、まちの活性化が期待されており、こうした地域で本学のキャンパスを整備・統合することが「健幸学術都市 ぎふ」として地域の発展に大きく貢献できるものと考えております。

さいごに

 本学は、教育・研究・社会活動の充実・強化を図るという大学の社会的使命を積極的に果たすことが期待されている一方、キャンパス整備・統合、法人化、産学官連携の強化・ライフサイエンス拠点の形成等多くの課題があります。本学が取り組むべき課題の詳細については、岐阜薬科大学中長期計画2025 (VISION of GPU2025)に記載しております。本学ホームページの将来構想・中長期計画を参照下さい。今後とも、こうした社会環境の動きを的確に捉え、課題解決に向けた様々な取り組みをするとともに、高度な研究に裏付けられた教育のできる大学として、また伝統的に培われた育薬・創薬に関する教育・研究の成果を世界に発信できる大学として、薬学部の中でトップを目指して、教職員一丸となって取り組んでまいります。本学発展のため、一層のご支援、ご指導を賜りますよう心からお願い申し上げまして、挨拶とさせて頂きます。

追伸

 本学のホームページ同窓会ホームページ及び岐阜薬科大学Twitterを是非一度ご照覧ください。

 本学並びに同窓会に対しまして、ご意見や質問がありましたら遠慮なくお問い合わせ(電話:058-230-8100,メールアドレス:dousoukai@gifu-pu.ac.jp)ください。

令和5年8月