Paterno-Buchi反応は古典的な光反応の一つです。
カルボニル化合物と不飽和炭化水素とを紫外光照射化反応させることで酸素を含む四員環化合物であるオキセタンを生成します。
この研究では、ベンゾキノンとスチレン類とを可視光照射化反応させることでオキセタンを含むスピロ環が生成することを鍵として、ルイス酸塩基対を触媒として用いることでジエノンフェノール転移が進行しジヒドロベンゾフランが生成することを見出しました。
これまでこのタイプの反応では、高温が必要であったにもかかわらず、本反応では室温下短時間で反応が簡潔するといった利点を生かし、多様な誘導体の迅速合成方へと応用しています。
この研究は、博士課程修了生の前島咲博士の研究成果であり、Org. Lett. 2023, 25, 1856-1861. DOI:10.1021/acs.orglett.3c00335 に掲載されています。
またこの研究は同論文誌のカバーピクチャーとしても採用されました。