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医療薬剤学大講座

薬剤学研究室
Pharmaceutics

教授 平野和行 准教授 臼井茂之 助教 井口和弘
Professor
Kazuyuki Hirano
Associate Professor
Shigeyuki Usui
Assistant Professor
Kazuhiro Iguchi
hirano@ usui@ iguchi@
※メールアドレスは @ 以下に gifu-pu.ac.jp を付加してください.
 
 薬剤学講座の前身である調剤学講座は昭和24年4月、新制大学として岐阜薬科大学の発足に伴い、 当時の宮道悦男学長を兼任初代教授として開講した。昭和29年に調剤学講座は調剤学と製剤学の2講座に分けられ、二代目教授として加藤好夫先生が 調剤学講座を主宰され、昭和39年4月に薬剤学講座と改名された。昭和53年4月に三代目教授として杉浦衛先生が東京薬科大学より赴任され、更に、 昭和60年4月に四代目教授として林恭三先生が学内移動により就任された。平成3年に林先生は新設の分子生物学講座初代教授として移動された後、 平成3年4月に平野和行が五代目教授として就任し、今日に至っています。また平成19年から学内組織改革により、医療薬剤学大講座 薬剤学研究室となりました。この間、酵素医薬品の開発研究や臨床診断分析法の開発に関する研究等のような医療薬学分野と密接に関連する課題を研究すると共に、 医薬品の副作用発現機序の解明や医薬品の適正使用の基礎的研究のような基礎薬学分野における研究も展開してきました。

 医薬品を適正使用するためには、正しい診断法に基づいた的確な医薬品の選択が必要であり、また、医薬品の生体内での動態並びに作用機序を理解する必要があります。 このような観点から本研究室では、現在の研究課題として、@癌の浸潤・転移に関わる抗癌剤の作用機序解明、A医薬品の作用・副作用発現機序に関わる遺伝子群の検索と同定、 B医薬品の水チャネルタンパク質に及ぼす影響、C血管内皮細胞増殖抑制物質の探査、Dヒトの薬物水解酵素の解明を採り上げています。生物薬剤学の理論・技法を用いて これら課題の研究を行い、医薬品の適正使用に関する基礎的研究を展開しています。

 がんの骨転移はがん患者のQOL(クオリティー・オブ・ライフ)を著しく低下させてしまいます。それは、骨転移したがん患者は骨の激痛や病的な骨折など の様々な骨病変が生じ、時として寝たきりの状態になってしまうこともあるからです。近年、この骨転移の治療薬として、骨粗鬆症治療薬であるビスホスホネート剤が 有効であることが報告されています。私たちの教室のテーマのひとつは、「ビスホスホネート剤が前立腺がんの骨転移に効果を引き起こす理由を明らかにすること」です。 前立腺がんは骨転移しやすいがんとして有名です。これまでの研究成果として、前立腺がんで高発現が認められるアミノペプチダーゼNやカベオリン1といったタンパク質の 発現をビスホスホネート剤が抑制することを見出しました。また、これらのタンパク質の発現抑制機序として、ビスホスホネート剤のもつイソプレノイド合成経路阻害作用が 関与することを明らかにしました(図参照)。イソプレノイド合成経路の阻害は低分子量Gタンパク質であるRasなどの活性化を阻害します。 アミノペプチダーゼNは前立腺がんの転移に役割を果たすタンパク質分解酵素であり、カベオリン1は細胞膜に存在するカベオラの主要な構成タンパク質の1つです。 これらの結果より、ビスホスホネート剤によるこれらのタンパク質の発現抑制作用がその骨転移抑制機序の一部を説明できるものと考えられました。
 アクアポリンと総称される水チャネルタンパク質は、現在までに13種の分子種が見出されています。このうちアクアポリン3(AQP3)はヒトでは表皮、小腸、腎に多く発現し、それぞれ皮膚の保湿、消化管での水分や低分子溶質の吸収、腎での水の再吸収に関与していると推察されています。胃酸抑制・緩下作用を有する酸化マグネシウムは現在もよく処方されていますが、その作用メカニズム、特に、水分調節機能については殆ど明らかにされていません。そこで作用メカニズムを明らかにする目的で、先ずマグネシウムイオンをCaco-2細胞へ作用させたところ、AQP3の発現増加が観察されました。続いて、AQP3の発現がマグネシウムイオンによりどのように調節されているかを検討し、その結果、マグネシウムイオンによるアデニル酸シクラーゼの活性化を引き金として、PKAを介してMAPキナーゼ系を活性化し、最終的に転写調節因子CREBよってAQP3の転写が調節されていることを明らかにしました。

図.イソプレノイド合成経路とビスホスホネート剤の作用点
研究課題
  1. 癌の浸潤・転移に関わる抗癌剤の作用機序解明
  2. 医薬品の作用・副作用発現機序に関わる遺伝子群の検索と同定
  3. 医薬品の水チャネルタンパク質に及ぼす影響
  4. 医薬品の適正使用な関する調査研究
最近の研究成果
  1. Regulation of glyceraldehude 3-phosphate dehydrogenase expression by metformin in HepG2 cells. Biol. Pharm. Bull., 32(7), 1160-1165 (2009).
  2. Overexpression of thymosin ß4 incerases pseudopodia formation in LNCaP prostate cancer cells. Biol. Pharm. Bull., 32(6), 1101-1104 (2009).
  3. Regulation of aquaporin 3 expression by magnesium ion. Eur. J. Pharmacol., 588(1), 26-32 (2008).
  4. Downregulation of thymosin ß4 expression by androgen in prostate cancer LNCaP cells. J. Androl., 29(2), 207-212 (2008).