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機能分子学大講座

薬理学研究室
Pharmacology

教授  稲垣 直樹 准教授  田中 宏幸 助教 山下 弘高
Professor
Naoki Inagaki
Associate Professor
Hiroyuki Tanaka
Assistant Professor
Hirotaka Yamashita
inagakin@ hirotnk@ hyamashita@
※メールアドレスは @ 以下に gifu-pu.ac.jp を付加してください.
 
  薬理学講座は昭和 39 年 9 月 15 日に岐阜大学医学部より故江田昭英教授が着任して開講しました.平成 5 年に江田教授から永井博弌教授にひき継がれ, 平成17 年より稲垣が担当して今日に至っております.また平成19年から学内組織改革により,機能分子学大講座 薬理学研究室となりました.薬理学研究室では開講以来, 一貫してアレルギー疾患の克服を目標に臨床に向けた研究を進め,免疫薬理学という新しい分野を開拓してきました.開講当時は,現在のように社会問題となるほどにはアレルギー疾患患者数は多くはなく, 治療薬の開発研究もほとんど行われておりませんでした.研究手法も確立されたものはほとんどなく,種々の評価系を確立しながら多数の植物成分およびその誘導体の有効性を検討してきました. これまでの研究室での基礎研究の中から,トラニラスト,スプラタストという2 種の抗アレルギー薬が生まれております.トラニラストは初めての内服できる抗アレルギー薬であり, スプラタストはサイトカインの働きを抑える新しい抗アレルギー薬です.

 薬理学研究室では慢性炎症性疾患であるアレルギー疾患の病態モデルを作成し,病態モデルを用いた病態の解析,薬物の評価,新しい薬物の開発研究を行っています. 気管支喘息やアトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患は長期にわたって症状が反復し,病態はきわめて複雑ですが,実験動物を用いて患者さんにみられる特徴を反映する病態モデルを確立することができればきわめて有用です. 病態モデルを解析することによって病態形成に関与する細胞,分子,遺伝子を同定し,これらを標的とする治療戦略の構築,新しい医薬品の開発を目指しています.

 気管支喘息は代表的なアレルギー性疾患であり,気道の慢性的な炎症を背景に気道狭窄による呼吸困難を繰り返します.ステロイドとアドレナリン ß 受容体刺激薬の吸入適用によって症状をコントロールすることができるようになってきましたが,喘息発作の原因であり,重症度とも相関することが知られている非特異的刺激に対する気道の反応性亢進(気道過敏性)の発症機序については不明のままです.また近年,気道の慢性的な炎症を背景に気道リモデリングが気道過敏性および ß 受容体刺激薬などの反応性の低下にも関与している可能性が推察されていますが,その因果関係は不明です.そこで,卵白アルブミンを用いてマウスに喘息様症状および病態を誘発し,その機序の解明を行っています.また最近では,ダニ抗原の気管内投与による喘息モデルを作成し,特に喘息の発症に及ぼす環境因子の影響についても解析を進めています.アトピー性皮膚炎は増悪と緩解とを繰り返す,かゆみのある湿疹を主病変とする疾患です.強いかゆみを伴い,患部を繰り返し掻破することによって特徴的な皮膚病変が形成されます.かゆみは患者 QOL を著しく損ない,大きな苦痛となりますが,掻破を防止することで皮膚症状が著しく改善することも確認されています.したがって,かゆみを抑制できれば,QOL を改善するのみならず,アトピー性皮膚炎の皮膚症状を改善することも可能です.かゆみは掻きたいという衝動を誘発する感覚ですが,曖昧な感覚であり,十分には解析されていません.そこで,マウスにアレルギー性皮膚炎を誘発し,出現する掻破行動を指標にしてかゆみ発現の機序を解析し,さらにかゆみ抑制薬の開発を目指しています.これまでの検討から,アトピー性皮膚炎の治療に用いられているタクロリムスがかゆみを抑制することを見いだしています.また,乳幼児のアトピー性皮膚炎には食物アレルギーが合併することが多く,食物によって皮膚症状が出現します.食物アレルギーの病態モデルは確立されているものはほとんどありませんので,マウスを用いてモデルの確立にも挑戦しています.

図.マウスの頸背部にアレルギー性皮膚反応を誘発すると後肢による掻破行動が観察されます.掻破行動は 1 秒間に 12-3 回の速さで繰り返されます.写真はマウスが掻破しているところ.
研究課題
  1. 気管支喘息の発症および難治化病態の解明と治療標的の探索
  2. アトピー性皮膚炎に伴う掻痒の解析と掻痒治療薬の開発
  3. 食物アレルギーの病態モデルの確立とその解析
  4. シックハウス症候群の発症機序に関する基礎的研究
最近の研究成果
  1. Repeated instillations of Dermatophagoides farinae into the airways can induce Th2-dependent airway hyperresponsiveness, eosinophilia and remodeling in mice: Effect of intratracheal treatment of fluticasone propionate. Eur. J. Pharmacol. 578; 87-96: 2008
  2. Immunomodulatory effects of CpG oligodeoxynucleotides on house dust mite-induced airway inflammation in mice. Int. Arch. Allergy Immunol. 147; 6-16: 2008.
  3. Inhibitory effects of Piper betle on production of allergic mediators by bone marrow-derived mast cells and lung epitherial cells. Immunopharmacol. 8; 453-457: 2008.
  4. The role of IgE and repeated challenge in the induction of persistent increases in scratching behavior in a mouse model of allergic dermatitis. Eur. J. Pharmacol. 605; 153-157: 2009.