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医療薬剤学大講座

薬物治療学研究室
Medical Therapeutics and Molecular Therapeutics

   
教授  酒々井 真澄 助教  吉田 一郎  
Professor
Masumi Suzui
Assistant Professor
Ichiro Yoshida
 
suzui@ iyoshida@  
※メールアドレスは @ 以下に gifu-pu.ac.jp を付加してください.
 
 薬物治療学講座(研究室)は薬学部教育課程が6年に延長されたことに伴い2006年4月に新設されました。同時に琉球大学医学部腫瘍病理学より酒々井眞澄が本学に赴任し本講座を主宰しています。現在スタッフは3人、学部学生5人、大学院博士課程学生2人です。研究室では学部と大学院教育に関して薬物治療学・腫瘍細胞学・病態学・分子病理学・内科治療学等を主な分野としています。研究では発がんの病因・病態の解明、トキシコゲノミクス、抗がん物質創製に関する研究を行っています。
 私達の主な研究内容は(1)がん細胞の遺伝子制御とシグナル伝達機構の解析、(2)がんの新規治療法・予防法開発、(3)新規抗がん物質の検出・創製と作用・毒性解析、(4)発がん・抗がん物質のインシリコ標的分子解析です。例えば、非環式レチノイド(acyclic retinoid, ACR)の作用機序に関する研究とこの薬物を用いた新たな大腸がん予防や治療法の開発に関する研究、および細胞周期調節分子を標的としたがん抑制メカニズムに関する研究です。また、蜂産品に関する研究を基に脂肪酸由来の新規抗がん物質合成に成功し(特許出願済)、標的分子と代謝・毒性解析をコンピュータ・シュミレーションにてスクリーニングし、シュミレーション結果をin vitroシステムと動物実験で検証中です。さらに、体脂肪のつきにくい食用油脂として市販されているDAGオイルの発がん毒性について、遺伝子導入ラットを用いた乳腺発がん促進作用の機序解析においてプロテイン・キナーゼC発現亢進を見出したため、因果関係を解析中です。これらの研究のゴールは化合物(薬物)の作用や毒性を解明することにより、より効果的で副作用の少ない新たな薬の開発のための情報を蓄積し、最終的に予防や治療にまで結びつけることです。これらの研究は国内施設(岐阜大医学部・琉球大医学部・金沢医科大・名古屋市立大医学部・京都大医学部動物実験施設・国立がんセンター)・海外施設(コロンビア大医学部)との共同研究を含みます。
 細胞周期はcyclin関連タンパクとその抑制タンパクによりコントロールされており多くのがんでcyclin D1の遺伝子増幅やタンパクの過剰発現が見つかっています。Cyclin D1遺伝子の導入により肝発がんが誘導されることが証明されています。従って、抗がん作用を持つ薬物を考えるうえでcyclin D1は良い標的分子となり得ます。私達はACRがヒト肝がん細胞株の増殖を著しく抑制し、この作用はcyclin D1発現の抑制とp21CIP1の誘導に深く関与していることを突き止めました。さらに私達はACRがcyclin D1プロモーター活性を抑制しβ-catenin/TCF/cyclin D1シグナル伝達経路を抑制することを発見しました。レチノイドは核内に存在するレチノイド受容体を介して標的遺伝子を活性化するというメカニズムが明らかになっています。私達はACRがヒト肝がん細胞株において核内受容体のひとつであるRARβの転写を極めて短時間のうちに濃度依存的に活性化させ転写因子であるAP-1とc-Fosのプロモーター活性を抑制することを明らかにしました。さらにACRはEGFR・ERKおよびSTAT3関連経路にも影響することを発見しました。現在、ACRの適応を大腸がん予防や治療に拡大することを目的にin vitro実験システムと動物モデルを用いてACRの大腸発がんに対する抑制効果の検討や毒性評価を行っています。

図.これまでの私達の研究成果により確認されたACRの標的分子と標的経路
研究課題
  1. がん細胞の遺伝子制御とシグナル伝達機構の解析
  2. がんの新規治療法・予防法開発
  3. 新規抗がん物質の検出・創製と作用・毒性解析
  4. 発がん・抗がん物質のインシリコ標的分子解析
最近の研究成果
  1. Growth inhibitory activity of ethanol extracts of Chinese and Brazilian propolis in four human colon carcinoma cell lines. Oncol Rep 2: 349-354 (2009).
  2. Inhibitory effect of rice bran-derived crude glycosphingolipid on colon preneoplastic biomarker lesions induced by azoxymethane in male F344 rats. Mol Med Rep 2: 45-49 (2009).
  3. Anticancer and chemopreventive effects of acyclic retinoid. Cancer: Disease Progression and Chemoprevention, pp 299-313, Research Signpost (2007).
  4. Colonic preneoplastic biomarkers and colon cancer chemoprevention by herbs in the Ryukyu Islands. Cancer: Disease Progression and Chemoprevention, pp 255-266, Research Signpost (2007).