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機能分子学大講座

生薬学研究室
Pharmacognosy

 
教授 飯沼宗和 准教授 大山雅義 助教 伊藤哲朗
Professor
Munekazu Iinuma
Associate Professor
Masayoshi Oyama
Assistant Professor
Tetsuro Ito
iinuma@ oyama@ teito@
※メールアドレスは @ 以下に gifu-pu.ac.jp を付加してください.
 
 生薬学教室は昭和24年4月,旧制岐阜薬学専門学校が新制大学に昇格すると同時に発足しています.初代嶋野 武に始まり,松浦 信,水野瑞夫,井上謙一郎,現在の飯沼宗和の各教授により主宰され,現在に至っています.また平成19年から学内組織改革により,機能分子学大講座 生薬学研究室となりました.教室の設置とともに資源植物の成分研究、フラボン誘導体の合成研究、薬用植物の植物社会学的研究などが開始されました.その後,フラボノイドの網羅的合成とそれら化合物の機器スペクトルの特性に関する研究、ポリフェノールをメルクマールとするマメ科、ヤナギ科、メギ科、オトギリソウ科、フタバガキ科、グネツム科植物などの植物化学分類に関する研究を展開し、数多くの新規化合物の単離と構造決定を手掛けてきました.また一方で,植物バイオテクノロジーによる有用物質生産を目指し、生合成に関する分子生物学的な研究も行っています。

 本研究室の研究のキーワードは「民族伝承薬物」とその中に含まれている「ポリフェノール」です.合成的に調達したフラボノイド、植物化学分類研究を通じて得られたフラボノイド、キサントン、スチルベンオリゴマーなどのポリフェノールライブラリーを整備しながら、生活習慣病の予防と軽減のために活用しようとしています.食の機能性が見直されつつある昨今、ポリフェノールの演じている役割にも期待が持たれ、最近はその研究報告が級数的に増えています.ヒトが長い歴史の中で経験的に選抜、淘汰してきた民族伝承薬物(薬用植物、野菜、果物など)に科学的に裏付け(遺伝子レベルでの生理活性の証明と物質レベルでの活性化合物の同定)をして、健康の保持・増進や疾病予防に寄与できるような具体的なシーズを探究しています.

 本研究室と産学官連携の共同研究を通して得られた最近の研究成果を紹介します.1)生活習慣病発症の入り口の一つは肥満です.肥満防止活性物質の探索を目的に世界各地から伝承薬物を収集して、600種類程のエキスを調製し、その一つ一つに活性があるかどうかをスクリーニングしました.その中で、エルサルバドルで万能薬として今もなお用いられているファニスラマ(キク科植物)と一般的に呼ばれている伝承薬物に唯一活性が認められました.活性本体も同定でき、その化合物は前駆脂肪細胞が脂肪細胞に分化誘導されるのを選択的に阻害することを明らかにしました.2)ガンによる死亡を減らすことは研究者の夢です.ヒト由来の数種のガン細胞に対してアポトーシス(自然死)を誘起する物質を伝承薬物から探し求めています。 ポリフェノールライブラリーを活用して誘起活性をスクリーニングしました.その結果、果物の女王と言われ、東南アジアで栽培され、広く食されているマンゴスチン(オトギリソウ科植物)果皮の中に高含量に存在するキサントン誘導体に強い活性が認められました.タイではその果皮を収斂剤として下痢止めに飲用したり、創傷治療に外用していますが、ガン細胞アポトーシス誘起活性についての知見は最初の例です.ミトコンドリアが反応の場であるためか、正常細胞に対しては副作用がない物質であることも明らかとなっています.現在は抗ガン剤との相乗効果の有無についても研究しています.3)生活の多様化や高齢化に伴い、便秘で悩む人の数は増加の傾向です.便秘解消は生活の質を向上させる点でも意味があります.下痢を伴わない「緩和なお通じ」を目指して、便秘解消作用を持つ伝承薬物を探索しました. その結果、香木として根強い人気のある沈香(伽羅木)の葉部に活性が認められました.タイを中心に沈香の栽培が行なわれ、当地の一部でその葉部は健康茶として利用されていますが、大部分は廃棄物として処理されています.沈香葉は腸の蠕動運動を促進し、排便を促すこと、その活性物質がゲンクワニン配糖体であることを証明しました.現在、有効性と安全性を確認し、商品化を目指して広範囲な研究を続けています.
 

図. 本研究室の研究方針の概念図 −世界各地に残る伝承薬物について、最新の手法で科学的に裏付けをし、生活習慣病の予防と軽減のために応用開発する−
研究課題
  1. 民族伝承薬物に立脚した生活習慣病予防への応用開発に関する研究
  2. 生態化学物質の機能解明と高度利用に関する研究
  3. 植物ポリフェノール類の構造と生理活性に関する研究
  4. 遺伝子組み換え植物培養細胞の調製と有用物質の効率的生産に関する研究
最近の研究成果
  1. Inhibition of Preadipocyte Differentiation by Germacranolides from Calea urticifolia, Biosci. Biotechnol.Biochem., 69, 2470-2474 (2005).
  2. New Resveratol Tetramers from the Stem Bark of Upuna borneensis, Chem. Biodiversity, 2, 1673-1684 (2005).
  3. Xanthones Induce Cell-cycle Arrest and Apoptosis in Human Colon Cancer DLD-1 Cells, Bioorg. Med. Chem., 13, 6064-6069 (2005).
  4. Structures of Stilbene Oligomers in Dipterocarpaceaeous Plants, 第25回天然物化学国際会議・第5回生物多様性国際会議 (IUPAC ICOB-5 & ISCNP-25)(京都,2006年7月)