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臨床薬剤学研究室

研究テーマ Research Interests

医薬品の適正使用のためには、まず病態を正確に知ることが必要であるという考えから、本研究室では、病態の把握・発症機序の解明、医薬品候補化合物の探索、医薬品の薬効評価法の確立を目的とした研究を進めている。具体的には、糖尿病関連疾患、神経変性疾患、動脈硬化などの炎症病態の発症・進展と活性酸素消去酵素の発現・存在様式の変化との関連性の解明、新規抗酸化ストレス、抗炎症作用を有する化合物の探索に関する研究を続けている。また、これら研究の過程で、我々は、細胞傷害の元凶といわれている活性酸素についても、低濃度範囲では、逆に酸化ストレスに対する生体の抵抗性を増大させる防御機構として、あるいは細胞内シグナル伝達分子として重要な働きを担っていること見出した。最近は、以下のテーマについて精力的に研究を進めている。

  1. 糖尿病治療薬の新規薬理作用:糖尿病治療薬のインクレチン関連薬であるglucagon-like peptide-1(GLP-1)アナログは、膵インスリン分泌促進作用以外に抗動脈硬化作用など多彩な生理機能を有していることが報告されている。GLP-1アナログのエピジェネテックな作用に着目し、新規メカニズムによる薬理作用の可能性について検討している。
  2. 脳梗塞時に生じる神経細胞傷害の分子機構の解明:脳梗塞時には脳内の亜鉛恒常性破綻に起因する亜鉛依存性の神経細胞傷害が生じる。最近、亜鉛はカルシウムに代わるシグナル分子として注目されており、現在は、酸化ストレスと亜鉛シグナルの観点から神経細胞死の分子機構の解明に取り組んでいる。
  3. 抗酸化酵素の発現調節機構としてのエピジェネティクス:エピジェネティクスは塩基配列によらない遺伝情報の発現制御機構であり、ガンや血管系疾患の発症・増悪への関与が示唆されている。血管系疾患発症の原因となる単球細胞からマクロファージへの分化過程における抗酸化酵素の発現調節機構を、エピジェネティクスに着目し検討している。
研究課題 Research Objectives
  1. GLP-1アナログによるEC-SODの発現調節機構
    Regulation of EC-SOD gene expression by GLP-1 analog
  2. 大気圧プラズマによる細胞応答の分子機構
    Molecular mechanism of cellular response to non-thermal atmospheric pressure plasma
  3. 抗酸化および抗炎症作用を有する化合物の探索
    Exploratory study of anti-oxidative and anti-inflammatory compounds
  4. 亜鉛の恒常性破綻が起因する神経細胞死の分子機構の解明
    Zinc signaling related to neurotoxicity
  5. エピジェネティクスによる抗酸化タンパク質発現制御機構
    Epigenetic regulation of anti-oxidative enzymes
最近の研究成果 Research Results
  1. Adachi T., Tanaka H., Nonomura S., Hara H., Kondo S., Hori M., Plasma-activated medium induced A549 cell injury by a spiral apoptotic cascade involving the mitochondrial-nuclear network, Free Rad. Biol. Med. 79, 28-44 (2015).
  2. Adachi T., Kaminaga T., Yasuda H., Kamiya T., Hara H., The involvement of endoplasmic reticulum stress in bile acid-induced hepatocellular injury, J. Clin. Biochem. Nutr. 54, 129-135 (2014).
  3. Hara H., Takeda T., Yamamoto N., Furuya K., Hirose K., Kamiya T., Adachi T., Zinc-induced modulation of SRSF6 activity alters Bim splicing to promote generation of the most potent apoptotic isoform BimS, FEBS J, 280, 3313-3327 (2013).
  4. Makino J., Nakanishi R., Kamiya T., Hara H., Ninomiya M., Koketsu M., Adachi T., Luteolin suppresses the differentiation of THP-1 cells through the inhibition of NOX2 mRNA expression and the membrane translocation of p47phox, J Nat Prod, 76, 1285-1290 (2013).
  5. Kamiya T., Machiura M., Makino J., Hara H., Hozumi I., Adachi T., Epigenetic regulation of extracellular-superoxide dismutase in human monocytes, Free Radic Biol Med, 61C, 197-205 (2013).

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